「人と上手く話せないんだけど、タスクはどう思う?」
「人と上手く話せないんだけど、タスクはどう思う?」
「どう思うって、そのうち慣れるんじゃないの?」
タスクはいつも冷たい。しかし、サカキはそんなタスクが可愛らしいと思った。
「それに、あなたは笑顔が少ないのよ。もっと笑いなさい。笑顔でいれば、そのうち良いこともあるから。まずは自信を持つこと。それが大切よ。」
家に帰ると、サカキはさっそく鏡の前でスマイルの練習をした。普段使っていない筋肉を使うととても疲れる。しかしこれは修行である。努力はきっと裏切らない。少しでもいい。現実社会で心地よく過ごせればそれでいいのだ。信じる者は救われる。
タスクは無宗教で、怪しい勧誘にははまらない様にしていた。いや、正確に言えば、一度はまってしまったら、二度と戻れなくなるのではないかという恐れがあったのだ。
ただ、今回に関しては別である。
「努力はきっと裏切らない。」
サカキはもう一度つぶやいた。
鏡の前の男は、もうかつての軟弱な輩には見えなかった。
サカキは体の中から湧き上がる熱を感じながら、やるぞと思った。